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わかやま新報8月15日の記事のご紹介

誤嚥防止トレーニングボトル 笠原さん開発

食べ物を飲み込む力が弱くなる高齢者に多い「誤嚥(ごえん)」を減らそうと、和歌山県和歌山市の歯科医師、笠原直樹さん(66)が、「食べる力を鍛える」トレーニングボトル「タン練くん」を開発した。歯科医師として長年、高齢者の口腔ケアに携わってきた経験をもとに考案した商品。笠原さんは「食事は人生の楽しみの一つ。日常的に舌の筋肉を鍛え、最後まで自分の力で食べる喜びを感じてほしい」とはなしている。

笠原さんは市内で30年以上、歯科医院を運営する傍ら、龍神村など山間部の高齢者施設で10年間、高齢者の歯科診療に携わってきた。そこで目の当たりにしたのは、食べ物が誤って気管に入り、肺で炎症が起こる「誤嚥性肺炎」で亡くなる多くの高齢者だった。

口腔ケアに力を入れることで肺炎で亡くなる人を減らしたいと、笠原さんは2012年に岩出市内に特別養護老人ホーム「岩出憩い園」を開設。歯科診療室を設け自ら診療にもあたったが、思うように誤嚥は防止できない。「弱ってしまう舌の筋肉を鍛えなければ」と発想を変え、思い付いたのが、高齢者向けのトレーニングボトルだった。

「タン練くん」は哺乳瓶のような形で、弾力性のあるシリコンゴム製の吸い口がついている。ボトルに飲み物を入れて飲むと、舌が自然と前後に動き、飲むために必要な筋肉が強化できる。同園で行った試験では、日に1回のトレーニングで舌圧が3カ月で約3~5倍も上昇する好結果が出た。「自分の口でしか食べられないのだから、足腰同様、舌も『鍛える』意識を持つ必要がある」と笠原さん。商品を多くの人に使ってもらいたいと、会社も立ち上げた。

高齢者の死因で誤嚥性肺炎は、がん、脳梗塞に次いで第3位という。多くの高齢者に接し、胸を痛めてきた笠原さんは「人は食べられなくなると、一気に活力が落ちる。誤嚥で苦しむ方を救うのが私のライフワーク」と力を込めた。

9月1日から販売。3980円(税別)30ミリリットルと200ミリリットルの2タイプがある。問い合わせは笠原歯科医院内㈱リハートテック(TEL073-477-2222。

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