タン練くんが正しく使えているか。舌に力が加わって鍛えることができているか調べてほしいと患者さんが来訪されました。
その方は10日ぐらい前に「タン練くん」を購入された方で、その時の舌圧は18キロパスカルと大変低く、主訴は食べたり飲んだりするとむせて、唾液も出にくく、いつも、口の中が渇いているために 常時、キシリトール入りの飴をなめているということでした。
最初に、正しく舌が動いているか、嚥下力がきちんと鍛えられているかのチェックをするとき 私は必ず、ゴム手袋をした私の親指を患者さんの口に入れて、飲むように舌を動かして下さいと言います。その時に親指にゴクンゴクンと動く「舌の圧力」を感じて伝わってくるかを診ます。この圧力が伝わってくることが必須です。
もう一つは、喉仏に軽く触れて上下に動いているかチェックします。
この両方がなければ「嚥下の時に使われる筋肉の連動がうまく使われていないという事になります」そんなときは、しっかりと指に力が加わるように、舌を上顎向いて動かせるようになるまで指導します。もともと赤ちゃんの時、母乳を吸う吸啜反射というを身につけて生まれてきていますから、すぐにできるようになります。何百人ももの方を診てきて、舌の筋肉は比較的早くついてくるものだとの感想を持っています。
唾液が少ないという点に対しては、舌圧をきたえることに加えて、耳下腺、顎下腺、舌下腺の位置を教えてマッサージの仕方や、唾液のでる動かしかた(舌を大きく出したり、口を大きくあけたり)等、指導します。
患者さんはどこを受診しても、嚥下障害があまりよくならないと思っておられて、「こんなふうにしっかりと嚥下力を鍛えることができるなんて、今まで教えて貰ったことがありませんでした」と感謝の言葉を頂きます。しっかりと動くようになると、舌根(特に奥の左右)あたりが、とてもこってくる感じになります。少しずつ筋肉がついてくると こる感じもなくなってきます。
食べることは生きる事。食べるための筋肉を弱らせないように鍛えて、107歳まで生きた「金さん 銀さん」のように健康で長生きしたいものです。