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口腔リハビリテーョン学会発表。コロナの影響で、登壇出来ず、ポスター紙上発表となりました。抄録の作成、eポスターの作成、演題の申し込みに際し、朝日大学小児歯科の田村康夫教授、長谷川信乃助教授には たいへんお世話になりました。以下に記載致します。

〈抄録〉
   要介護高齢者に対する嚥下訓練と舌圧変化
changes of pressure by the swallow training to the elderly in need of care
笠原直樹、長谷川信乃、田村康夫
  Kasahara N Hasegawa S Tamura Y
笠原歯科医院、朝日大学小児歯科
 key words Tongue pressure,Swallowing training,Elderly in need of care
舌圧変化、嚥下機能訓練具 要介護高齢者

目的
 近年 嚥下機能低下が原因となる誤嚥性肺炎による死亡者増加が社会問題化している。それ故 嚥下機能低下防止のリハビリテーション用器具開発が必要であると考え 哺乳瓶からヒントを得て 一般医療器具「口腔嚥下機能訓練具」以下 嚥下訓練具を開発した(特許取得)また舌圧を検査することは、咀嚼、嚥下機能障害の診断への有効性が明らかにされている。
 本研究は、基礎疾患を有し、嚥下機能低下を示す要介護高齢者に対し、嚥下訓練具を用い継続的に嚥下訓練を行い、嚥下機能訓練が舌圧変化に及ぼす影響について検討することを目的とした。

被検者および方法
 在宅あるいは施設での要介護高齢者10名 A群55 98歳、平均80.1歳、男性5名、女性5名 対照群に 健常で口腔機能にも異常のない女性3名(B群、46 62歳、平均55.7歳)を被検者とした。
 嚥下機能訓練には嚥下訓練具を使用した。本訓練具の吸い口は圧縮に5Nの荷重がかかるように設定した。計測期間は2017年 月から 月とし、1日1回 1回1~2分間行い飲料は30mlとした。A群は 週間隔、B群は 週間隔で計測した。舌圧は、JMS舌圧測定器(ジェイ.エム.エス社)を用い2017年7月~10月に計測した。
 分析は計測期間を 分割し、第1クール開始 回目 第2クール 回目 第3クール 回目とし、クール間、被検者群間は分散分析および検定を行い、有意水準5%以下を統計的有意差ありとした。なお、検査の実施に先立ち、被検者および施設に対し目的や安全性について説明し、同意が
得られた者を対象とした。

結果
 A群の舌圧は(平均16.8 22.5kPaは、B群 平均29.2 34.9kPa)に比べ低かった。
A群は第1 第2 第3クールへと嚥下訓練回数の増加とともに、舌圧は平均16.4~22.5kPaへ各クール間で有意に増大した。B群も第1クールに比べ第3クールで増大した。

考察および結論
 要介護高齢者に対し、今回開発した嚥下訓練具を用いて3カ月間訓練を行い 舌圧変化を計測した結果、嚥下訓練具を用い舌に負荷をかけて飲料を飲むことによって、舌機能が上昇することが示された。本訓練具は、乳児が哺乳期に飲み込む力を育んだ後、乳歯で噛むための顎、口腔周囲筋を成長させる仕組みを活用したもので 成人も本訓練具によって嚥下関連筋群が連動して鍛えられたと考えられる。
以上から、高齢者に対する嚥下訓練具による嚥下訓練は 口腔機能低下を防止し、嚥下機能改善に有効であることが示唆された。
  最後に、藤原修司歯科医師に指導 助言いただいたことにお礼申し上げます。