胃ろうの目的
胃ろうの目的は食事が困難となった人やむせ込みやすい人に対して、負担なく栄養摂取することです。あくまでも自分の力で食べられるようになるまでのサポートです。
口からの栄養摂取ができる力が戻れば、カテーテルを抜き取り胃ろうを終えることもできます。胃ろう除去後から食事ができるため、本人の身体的負担は少ないです。
また胃ろうでできた傷口は、胃の粘膜の早い回復力により、早々に目立ちにくくなります。
中には胃ろうは医療行為ではなく延命治療だと考える人もいます。その主たる理由は、本人の自己判断が難しくなった場合に胃ろうの話が出るためです。
胃ろうをしてから意思疎通ができなくなり、家族側が楽にさせたいと思っても、胃ろうにより人生を終えられない場合もあります。特に終末期の高齢者の胃ろうは、よく考えて行わなければいけません。
日本老年医学会からも「本人の尊厳を損なう恐れがある」としており、慎重な判断が求められる、としています。
また高齢者は、加齢や認知症、がん、脳血管障害などで飲み込む力が弱まります。食べ物が肺に入り誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高いです。栄養が摂れなければ、栄養状態が悪化し健康面にも悪影響を及ぼしてしまいます。
しかし、胃ろうだと肺炎のリスクを減らし、本人や家族の負担を軽減できます。そのため生命の維持と栄養状態の改善を考えて、胃ろうを推奨する病院が増えているのです。
また肺炎は高齢者の死因第6位と高いことから、医師だけでなく肺炎の発生リスクを避けたいと考える介護者も多いです。胃ろうは延命治療だと考える人はまだまだ多いですが、本来は機能回復や治療のために行います。
みんなの介護 抜粋