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うまく飲み込むコツは舌のパワーがカギに(菊谷武先生の あなたの老いは舌から始まるより)

食べ物を飲み込む嚥下について

①食べ物を咽頭(のどの奥)へ押し込む

十分に咀嚼(そしゃく)され、口の中でまとめられた食べ物は、舌を使って咽頭へ押し込まれます。

②食べ物を食道へ送り込む

咽頭を強い力で絞り込み、食べ物を一気に食道へ送り込みます。

食べ物を飲み込む瞬間、私たちは0.5秒間だけ息を止めています。この0.5秒間で、気管を閉じて食道を開くという、実に器用なことを行っているのです。0.5秒間という絶妙なタイミングで「息をする」「飲み込む」という、生きるために大切な2つの動作を切り替えているというわけです。

のどを通った食べ物は、食道が開いた0.5秒の間に、一気に食道に送り込まれます。そして食べ物が食道に入ると同時に、気道がひらいて呼吸が再開するのです。そして食べ物は胃へと送られます。

この「飲み込む」という動作では、舌が大きな威力を発揮します。食べ物を咽頭に送り込む、そして食べ物を食道に送り込むといった一連の流れは、主に舌のパワーによるものです。

実は舌というのは鏡で見ることができる部分だけでなく、のどの奥(下)のほうから伸びています。だからこそ、飲み込むときにも大活躍するのです。

そのため、舌をはじめとする口腔機能が弱まってしまうと、舌のパワーも弱まり、0.5秒間のタイミングも誤作動を起こすことになります。この結果、嚥下障害を起こし、誤嚥性肺炎や窒息事故に繋がってしまうのです

ちなみに、0.5秒間で、気管にを閉じて食道を開くという不思議なメカニズムを持っているのは、地球上に約6000種存在する哺乳類の中で人間だけ。それゆえ、人間は

誤嚥や窒息を起こす宿命を背負った唯一の動物といわれています。

食べるという行為は、咀嚼(そしゃく)と嚥下(飲み込むこと)の2つの動作により成り立ちますが、そのどちらにも、舌が非常に重要な役割を果たしていることがおわかり頂けたかと思います。

ここからは、私が開発した口腔機能トレーニングボトル「タン練くん」のお話しを付け加えさせて頂きます。

舌に負荷をかけながら嚥下までを行うことで、連動する筋肉を鍛えようとする器具です。ポイントは舌に負荷をかけながら飲み込む行為は、赤ん坊が成長するときの動きです。気管のふた(喉頭蓋)までの一連の動きによって鍛えられ成長していきます。筋肉の成長には「過負荷の法則」があります。成人してしまうと、なかなかこのような動きは日常になくなります。舌のパワーが弱って誤嚥性肺炎へと進む人が高齢化と共に増えている現状があります。

足腰を鍛えることも重要ですが、命をつなぐ食べる飲み込む力をつけることは、もっと大事です。

皆様 むせている方は特に 食べる飲み込む力を鍛えましょう。