なぜ「タン練くん」なのか?
哺乳類が名前の由来通り、生まれた瞬間から、お母さんの母乳を探します。これは、生きていく本能で「吸啜本能」とよばれるものです。
これがないと生きてゆけません。舌を精緻に使って食べる、声を出す、味わう、唾液と混ぜるなど、舌の動きは脳の中でも大きな面積をしめています。そこからものを飲み込む中咽頭筋と呼ばれる嚥下機能も、嚥下反射と呼ばれる最も複雑な機能を持った筋肉や神経の連動によっておこなわれます。
誤嚥性肺炎は、嚥下機能が弱り、ものを飲み込んだときに、嚥下反射の連動がうまくいかず、喉頭蓋という気管の入口にあるフタが閉まりきらずに、肺に食べ物や唾液が入っていきます。
一度入ってしまった食べ物は肺の底に溜まったままの状態で、抗生物質や抗菌剤で、炎症を抑えても、また、唾液の中の細菌で再発してしまいます。
最近ショッキングな記事をみました。「一度誤嚥性肺炎と言われたら余命は265日」というものです。早期発見だとそうでもないのでしょうが、発見が遅れやすい特徴があるからなのでしょう。
おいしく食べて一生を穏やかに暮らすには、しっかり食べる機能維持に努めなければなりません。なぜ「タン練くん」なのかは、以上のような理由です。