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嚥下

嚥下が始まるとき、まず口が閉じます。口が開けっ放しでは、動かせるのは舌だけで、嚥下しづらいはずです。同時に上下顎の歯が一瞬かんでいるのがおわかりでしようか。顎がふらついていたのでは、嚥下はできません。顎を固定するために奥歯が一瞬かみ合うのです。歯は咀嚼だけでなく、嚥下にも重要な役割を果たしているのです。

さらに軟口蓋(上顎の奥の柔らかい筋肉組織)がそり上がって鼻咽腔(口から鼻に繋がる通路)を封鎖します。このときの口腔内は完全に封鎖されます。

そこで、舌が勢いよく口蓋に向かって押し上がり、口腔の内圧を一瞬にして高めます。この時、喉仏を触れると咽頭が一旦上がって(喉頭挙上)から下がるのがわかります。舌が口蓋を押し上げるのに連動して、喉頭挙上が起こるのです。喉頭が挙上しているときの舌根部は食塊を咽頭に送り込みやすいように下方に押し下がっています。舌根とともに気管の入り口にある蓋(喉頭蓋)も下がって、気管の入り口を塞ぎます。さらに次の瞬間、反射運動として食道の入り口が開き、喉頭蓋の上、あるいは左右の両脇を通過してきた食塊が食道に運ばれていきます。

嚥下の際の食塊は、口が塞がり、鼻が塞がり、そして気道が塞がり、圧に押されるようにして食道に移送されます。「飲み込み、嚥下運動」は、口から咽にかけて、それぞれの器官が100分の1秒単位で行う反射的協調によって成り立っています。