学会発表(日本口腔リハビリテーション学会 於 慈恵医大大講堂
東京新橋にある慈恵医大大講堂にて、第38回日本口腔リハビリテーション学会学術大会が、12月7日8日に盛会裏に終了しました。
大会関係者の大変な御準備のたまものだと感謝いたします。
わたしは、演題の20番目のトリで、口演発表をおこないました。
「要介護高齢者に対する嚥下訓練と舌圧変化 第2報:高齢者施設における吸啜·嚥下実施方法についての評価」
というタイトルで登壇しました。
共同研究者は、社会福祉法人福樹会笠原直樹 角谷リハビリテーション病院有田幹雄 朝日大学副学長田村康夫
わが国では高齢化が進み誤嚥性肺炎の死亡率が社会問題化しています。
その一因として加齢による嚥下機能の低下が挙げられ、高齢者においては嚥下機能の低下を防ぎ、機能維持を謀ることが重要なテーマとなっています。
我々は嚥下機能の低下を防止する高齢者向けのリハビリ用器具「口腔嚥下機能訓練器具」を開発しましたので報告いたします。
学会発表に先立ち本演題に関して開示すべき利益相反状態はありません。
倫理委員会をひらき、ご家族の同意文書を頂き 1年に及ぶ舌圧訓練を3ヶ月を単位として 訓練をするグループ、全く訓連をしないグループにわけ①吸啜訓練を3ヶ月続けた舌圧の上昇率を検証する··②訓練開始後3ヶ月間の休止期間をいれて、訓練を再開した場合において、高齢者が訓練効果を維持出来ているかについても検証しました。
同意の得られた31名、女性25名 男性6名 平均年齢86歳を対象としました。
吸啜訓練前に舌圧測定をし、その結果を各個人のコントロール値としました。
30ccのリンゴジュースを小容量タイプの訓練器具に入れて毎日飲んでもらいました。
1.訓練前コントロール舌圧平均14.8kpaであったのに対して、1回目の3カ月吸啜訓練後の舌圧は平均21.6kpaへと有意に増大していました。
2.1回目の3カ月間舌圧と、3カ月の休止期間を挟んだ2回目3カ月間の吸啜訓練を行った後の舌圧変化を比較しますと、1回目が21.6kpaであったのに対し、休止期間後の2回目は平均23.3kpaと3ヶ月間の休止期間を挟んだ1回目と2回目で有意差は認められませんでした。
結論
乳児期と同じように 舌骨上筋群や舌·口腔周囲筋群を鍛える「嚥下訓練器具」の使用は舌圧の有意な上昇が確認され、高齢者の嚥下機能の維持·向上に有効であるることが示唆された。
また、嚥下訓練器具の使用により一度上昇した舌圧は3ヶ月の休止期間を挟んでも高いまま維持されていることが確認できました。
本研究では、赤ちゃんがお乳を飲む吸啜行動(哺乳類の本能)と同様な訓練を行なってきました。
そこで、対応あるt_-検定で有意差検定を行った結果、有意に舌圧が増大していることがわかりました。