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死には本来 苦しみはない。特養ホーム常勤医がみた「平穏死」引用…石飛幸三先生の記事より

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の年間死者数は戦後最多を更新し続けており、2040年には約168万人のピークを迎えるという。

「超高齢化社会」の次にやってくる「多死社会」を、私たちはどのようにとらえればよいのだろうか?

1980年代まで、日本人の8割が自宅で死を迎えていたが、現代ではそれが逆転して、8割が病院で死ぬ時代になった。

人生には必ず終わりがくる。あなたはそのときどのような死に方をしたいだろうか?病院か?自宅か?それとも介護施設か?

実は90歳前後のひとの食べるべき量の認識は誤り!?

入居者が誤嚥性肺炎で病院にひっきりなしに入院する事態がなぜ起きてるのか。

原因を端的に言えば、「食べる量」についての認識が間違っていたのです。

人間が生きていくのに必要な栄養と水分は、体重と年齢に応じて計算されます。

当然のことながら、働き盛りの人は多く、子どもや高齢者は少なくていいという計算になります。

では、90歳前後の超高齢者についてはどうか?

老いによって体の動きが極端に減っているわけだから、必要な水分やカロリーはもっと少なくていい。ということになる。ところが、どこまで少なくすればいいのかは、正確にはわかってないのです。1日1500キロカロリーくらいを与えればよいのか?いや、それでは多すぎるのです。

口から食べるのが難しくなっている状態の時、介護スタッフはのどに食べ物が残っていないか、そろそろ次の一口を入れてもよいか、慎重に時間をかけて行われなければなりません。

しかし、現場は人手が足りず、ゆっくり時間をかける暇はありません。となりでは、別の入居者がトイレにいきたいと言い出したりすることもある。その結果、まだ前の食べ物が口の中にあるのに次の食べ物を入れてしまったりして、誤嚥性肺炎が起こるのです

もちろん、介護スタッフには「キチンと食べさせてあげないといけない」という意識があります。食べさせられないのは自分たちの技術が劣っているからという自責の念があるから、自分の判断で食べる量を減らそうとはしません。食べる量が少ないと家族からクレームがくることもよくあります。

肺炎→胃ろう→また肺炎の悪循環

誤嚥性肺炎になっても、抗生剤、抗菌剤を漬かって肺炎は治ります。

ところが嚥下障害そのものは治りませんから、口からものを食べさせようとすれば、また、誤嚥します。病院はいつまでも入院させておくわけにはいきませんから、胃ろうを薦めます。

利用者さんの家族は胃ろうを断るかたが増えています本人の幸せを願ってのことです。

人は「食べないから死ぬ」のではなく、「死ぬのだからもう食べない」

無理に食べさせても衰えは進んでいくし誤嚥性肺炎をおこしたり、経管栄養をしたら、栄養過多による体のむくみで本人が苦しむだけ。

一日600キロカロリーのゼリー食でも一年半生きる人もいる。

最低限の栄養と水分しか取らないから、次第に、起きている時間よりも眠っている時間のほうが長くなります。

自然な最後とは、苦しみなどひとつもない燃え尽きた炎がすーっと消えていくような終わり方です。

一度、この世に生まれたものは、死んでいくのが自然の摂理です。その摂理に逆らうと苦しみを与えることに通じます。

最後は穏やかな平穏死が、理想的です。