「ピンピンコロリ」を達成できるのは高齢者の1割、、菊谷武先生の著書より。
みなさんは、どのような状態で人生の終わりを迎えたいですか?
講演会などでこのご質問をすると、みなさんは口を揃えてこうおっしゃいます。
「そりゃあ、ピンピンコロリで死にたいよ」
多くの人は、亡くなる直前まで元気で、健康でいたいと考えているのです。
しかし、ピンピンコロリで天寿を全うできる人がどのくらいいるんでしよう。
答えはたったの1割です。
ピンピンコロリは10人に1人、裏を返せば、10人に9人
寝たきりになったり、介護を受けたり、入院したりと、なんらかの支援を受けた状態、つまりネンネンコロリで最後を迎えることになるのです。
「健康寿命」という言葉を聞いたことがあるかと思います。健康寿命は、健康上の問題なく日常生活を送れる期間のこと。
健康寿命とは逆の不健康寿命は、男性で約8~9年、女性で約12年だそうです。
つまり、亡くなる前のかなりの期間、健康でなくなるのが一般的なのです。
私たちの願望とは裏腹に、現実はかくも厳しいものであるということです。
長寿大国ニッポンの真実
道端で体調の悪そうなお年寄りがうずくまっていたら、日本では当たり前のように通りすがりの人が「大丈夫ですか?救急車呼びましょうか?」と声をかけてくれるでしよう。実は、自然とこんなセリフが出てくるのは、世界でも稀です。
たとえばアメリカなら「大丈夫ですか?希望なら救急車呼ぶけれど、保険はありますか?」となるでしょう。
アメリカで医療保険のない人がうっかり救急車を呼んで治療されてしまったら、治療費で財産が空っぽになり、家族が
路頭に迷うことになるかもしれないのです。
世界的に見て、日本の医療は格安です。
他の国であればとても救命できないような病気に突然かかったとしても、国民皆保険制度のおかげで、誰もが治療を受けることができるのです。
しかも、日本の医療は世界的に見てもかなりの高レベルです。
そういう日本だからこそ、病気にかかっても死なずに生きながらえることができるのです。死なないから寿命は長くなりますが、ピンピンの健康な状態に戻れるかというと、そういうわけにはいきません。
特に高齢者は、病後は何らかの障害が残ったり、生活に支障が出る場合がほとんどです。そこで登場するのが介護保険制度で、生活の支援が受けられます。日本の高齢者は、実に手厚い待遇を受けられるのです。
日本人の寿命が年々伸びているのは、私たちが健康だからというよりも、健康保険と介護保険というすばらしい制度のおかげといえるのかもしれません。
逆に言えば、日本人は簡単に死ぬことができないということでもあります。
死ぬに死ねないという側面はありますが、私たち日本人が大変幸せな国に
生まれ、暮らしていることはたしかなのです。
医療レベルが高く、長生きできる国だからこそ、健康で元気なピンピンの期間を少しでも長くすることで、老後の幸福が決まるといえるのかもしれません。
“タン練くんは、高齢者が、医療保険や介護保険のお世話にならないように、飲み込む筋肉を鍛えて「生活の質」を維持するめにお使い下さい。