就寝中の唾液誤嚥
不顕性誤嚥とは誤嚥しても「むせない誤嚥」のことを指します。「誤嚥したら必ずむせるはず」だと思うかも知れませんが、咽喉頭(いんこうとう:のど)の感覚が低下した場合は誤嚥してもむせません。
健常な若い方の場合は、咽喉頭の感覚の低下により誤嚥してもむせないということはほとんどありません。しかし、高齢の方や特定の疾患(脳卒中やパーキンソン病など)で咽喉頭の感覚が低下している場合は、誤嚥してもむせない場合があります。そういった場合には、食事中に誤嚥しているのにどんどん食事を進めてしまい、食事が終わった頃には呼吸が苦しくなってしまうということもあるのです。
また、就寝中の唾液誤嚥はこの不顕性誤嚥になりやすく、就寝中に気づかない間に唾液を誤嚥してしまい誤嚥性肺炎の発症につながってしまうのです。誤嚥性肺炎の原因として就寝中の唾液誤嚥についての認識が広まらないのは、この不顕性誤嚥が原因のために気づかれにくいという側面もあると思います。
就寝中に自分の咳で目覚めてしまう方や朝起きたときに痰絡みの多い方は、就寝中に不顕性誤嚥(唾液誤嚥)をしている可能性が高いので、誤嚥性肺炎に注意しましょう。
みんなの介護 抜粋