誤嚥性肺炎
(西山耕一郎先生の、肺炎がいやならのどを鍛えなさい より)
はじめに
突然ですが、みなさんに質問です。
みなさんは、健康寿命を実現するために、もっとも衰えさせてはいけない体の機能は何だとおもいますか?
足腰の筋肉? たしかにそれも重要ですね。
筋肉が衰えて歩行がままならなくなれば、寝たきりになる可能性が大きく高まります。
血管の健康? もちろんこれも重要です。高血圧や高血糖で血管の機能が衰えれば、脳や心臓が重大な病気に見舞われるリスクが高まります。
しかしみなさん、じつは、筋肉よりも血管よりも「決して衰えさせてしまってはいけない機能が」があるのです。
それは、食べ物を飲み込む力すなわち 嚥下機能です。
人間は食べ物を食べてエネルギーを取り込まなくては生きていくことができません。
「食べる=エネルギーをとりこむ」という行為は生き物が生命活動を営む上で一番のベースとなる行動であり、わたしたちは日々その行為をごく「当たり前のこと」として行っています。
しかし飲み込む力が衰えると、その「当たり前のこと」が当たり前にできなくなってしまうのです。
ご存知の方も多いと思いますが、飲み込む力が衰えてくると、しばしば「誤嚥」が起こるようになります。「嚥」という字は「飲み込む」を表していますので、誤嚥というのは文字通り「誤って飲み込む」という意味です。食べた物が食道ではなく、気管や肺のほうに入ってしまうわけですね。すると、気管や肺に入った食べ物によっり炎症が起こり、「誤嚥性肺炎」が発生することになります。
そして、この誤嚥性肺炎が、命取りになるのです。
じつはいま、肺炎は日本人の死亡原因の第三位となっています。