“高齢者の誤嚥性肺炎”
高齢化社会により肺炎で亡くなる人は増加しており、2011年には、がん、心臓病に次いで、肺炎は日本人の死因の第3位となりました。
肺炎で亡くなる人のほとんどは、65歳以上の高齢者であり、高齢者の肺炎の多くが、誤嚥性肺炎が原因と言われています(70歳以上では70%以上、90歳以上では95%近くが誤嚥性肺炎と言われています)。ある呼吸器内科に入院した肺炎患者さんのうち、4割以上の患者さんは誤嚥性肺炎と診断されています。
予防法
抗菌薬による治療は肺炎自体には効果がありますが、誤嚥を防ぐことはできません。治療後に繰り返し誤嚥性肺炎を発症する可能性があります。そのために誤嚥性肺炎のリスクを減らす努力が必要です。誤嚥性肺炎の予防には、以下のことに気をつけて下さい。
①誤嚥のリスクを減らす、
・食事の工夫(食事形態やとろみをつけるなどの工夫をしてみること)
・食事に集中する(会話やテレビを見ながら等の食事をしないこと)
・胃液の逆流を防ぐ(食後2時間は横にならないように気をつけること)
・嚥下のリハビリ(嚥下機能の改善をはかること)
②感染のリスクを減らす
・口腔ケア(口の中を清潔にし、誤嚥時の細菌を少なくして肺炎の発生を減らすこと)
③脳血管障害の予防も大切です。
誤嚥は、高齢者には、皆起こりうる老化現象とも考えられます。いずれはご家族・ご自身に起こりうる問題です。多くの方々が、少しでも誤嚥性肺炎を理解し、考え、予防に努めて頂くことを願っています。
関東中央病院の内科部長様の当 時の記事より引用