摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)障害(摂食機能障害)とは
例えば脳卒中の場合、手や足が思うように動かせない後遺症が残ることがあります。利き手が麻痺してしまったら、お箸を持って食事をするのはさぞ難しくなることでしょう。しかし、実はこのような麻痺は、口や咽にも残ります。「口が開きづらい」「唇が閉まらない」「舌が動かない」「頬の感覚がない」などです。その結果、食べ物が歯の表面に張り付いたままになったり、唾液や食べ物を口からこぼしてしまいます。
さらに、咽にも麻痺が残ると、もっと危険な状況になります。飲み込んだ物が食道に行かず、気管の方へ行ってしまうのです。これが誤嚥(ごえん)と呼ばれるものです。
例えば軟口蓋が上がるタイミングが遅れると、口腔内が密封されずに内圧が高まりません。口腔内から咽頭へ食塊が送られるスピードやパワーは落ちてしまうでしょう。あるいは、咽が上がりきることができなければ、喉頭蓋が気管の入り口を完全に塞ぐことができないことになります。そうすれば、食塊は開き放しの気管の方へ行ってしまうことでしょう。誤嚥のために肺炎を起こしたり(誤嚥性肺炎)、窒息したりで直接生命も危ぶまれる事態になります。
以上のように、食べる行為、咀嚼、および嚥下に障害がある場合を「摂食・嚥下障害(摂食機能障害)」と言います。
歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク8020 抜粋