閻魔(えんま)さまはなぜ舌を狙う?
菊谷武先生の「あなたの老いは舌から始まる」より。
噛んだり、飲み込んだりするときには、舌の力が非常に重要である。 ところで、昔の人は子供のしつけなどで、よく言っていました。 「嘘をつくと閻魔さまに舌を抜かれるぞ」と。 これは、嘘をつくと地獄に落ちて、閻魔さまに舌を抜かれて、二度としゃべれなくなるという話です。
閻魔さまというのは、仏教などでいう地獄の主。真っ赤な顔をした恐ろしい形相の閻魔さまは、地獄で待ち構えて、死者たちに裁きを下すのです。
みなさんも物語などで、閻魔さまの手下の鬼たちがペンチのようなもので死者の舌を抜いている恐ろしい絵を見たことがあるのではないでしょうか? さすがは地獄の主である閻魔さまです。「歯をぬくぞ」ではなく、「舌をぬくぞ」なのですから。 舌を抜いたら、食べることも噛むことも話すことも難しくなります。 舌の機能を維持するためには、歯やあご、頬の筋肉、舌など、さまざまな器官が連携することが必須ですが、やはり要となるのは舌です。 私の勝手な考えですが、閻魔さまは人間の急所、生きていくための大切な器官を知っていたのでしょう。 ちなみに、仏教の地獄では、現世で罪を犯したものが、その罪によってさまざまな拷問を受けるとされているのですが、舌は焼かれたり、串に刺されたりと、さんざんな目にあうようです。